作品の映像美の魅力の理由

「地図を作るため」そして未だ登攀されていない未踏の地をなんとしても踏破したいという日本山岳会。そして剣岳は今までも多くの人たちがその頂を目指して挑戦して、そして命を落としているとても危険な山です。この『劒岳 点の記』が製作されたのは、剣岳に登頂そして観測された年からちょうど100年が経過したという記念から映画が製作されました。そして映画のラストでノブが発見した「行者の銅製の錫杖」は、実際に剣岳の山頂付近で発見されたことも知られています。

明治時代の足跡をたどる

撮影が開始されてから、延べ日数は200日以上に渡って撮影されました。最近の映画では、ごく当たり前にCGや空撮での撮影が一般的ですが、明治の測量官と同じように積雪期の立山連峰そして剱岳に登っての撮影なので危険な山でもある剣岳の迫力を臨場感を感じることができます。数カットを撮影するために、キャストもそしてスタッフも山を数時間かけて登り、そして数カットを撮影してまた数時間かけて引き返す。という撮影現場でした。標高3000メートルでの撮影では、何度も何度も自然の厳しさを感じ、自然がキバを向く様子など普段目にすることのない自然をそのまま感じられる作品となっています。

どのように撮影されたのか?!

本物にこだわった映画を撮りたい。という思いから、日本を代表する名キャメラマンの木村大作さんが初めて監督した作品が「剣岳 点の記」です。日本を代表する名キャメラマンの木村さんだからこそ、本物にこだわってこだわってこだわり抜いた作品となりました。

「剣岳 点の記」の作中で描かれている柴崎などの明治の男がこだわったのは「ただ地図を作るために献身する」という姿です。そして木村大作さんはキャメラマンとして「映画を作るために献身」してきました。その部分をシンクロさせて、「何のためにしたのか」という木村さんがいままでキャメラマンとして蓄積してきた生き方がシナリオの中にちりばめられています。

映像美の秘密

映画が完成したのは2008年末ですが、撮影が開始されたのは2007年4月です。この作品を撮影するにあたっては、作品の中に登場する人たちの感情を大切にしようということから、演技の部分に関しては作品の内容順番どおりに撮影されました。

木村大作キャメラマンが監督しただけあって、作品を撮影するにあたり、撮影ではなく『行』だとしての基本方針でした。「厳しい中にしか美しさはない」ということから、明治の測量官の目線そして測量官の感覚をとても大切にするため、立山ガイドの支援を受ける形で積雪期にも撮影が行われました。もちろん山の天気はすごいものがあります。体感温度は氷点下40度にも達する中で、山小屋でものすごい嵐があったり、嵐の翌日には昨日なかった場所に川ができていたり・・もちろん猛烈な風が吹く中での撮影は過酷ですが、その中でもスタッフはカメラを守りながら飛ばされそうになりながら立山連峰や剱岳で長時間の撮影期間を経て映画が撮影されました。

もちろん自然のすざましい姿を感じそして見る一方で、普段の日常生活で観ることの出来ない素晴らしい美しい景色にも何度も目の当たりにする撮影となりました。

「劒岳 点の記」が受賞したもの

  • 第33回日本アカデミー賞・・・最優秀監督賞:木村大作
  • 第33回日本アカデミー賞・・・最優秀助演男優賞:香川照之
  • 第33回日本アカデミー賞・・・最優秀音楽賞:池辺晋一郎
  • 第33回日本アカデミー賞・・・最優秀照明賞:川辺隆之
  • 第33回日本アカデミー賞・・・最優秀録音賞:石寺健一
  • 第33回日本アカデミー賞・・・優秀主演男優賞:浅野忠信
  • 第33回日本アカデミー賞・・・優秀作品賞
  • 第33回日本アカデミー賞・・・優秀脚本賞:木村大作・菊池淳夫・宮村敏正
  • 第33回日本アカデミー賞・・・優秀美術賞:福澤勝広・若松孝市
  • 第33回日本アカデミー賞・・・優秀編集賞:板垣恵一
  • 第52回ブルーリボン賞・・・作品賞
  • 第52回ブルーリボン賞・・・新人賞:木村大作
  • 第64回毎日映画コンクール・・・日本映画優秀賞
  • 第64回毎日映画コンクール・・・撮影賞:木村大作
  • 第64回毎日映画コンクール・・・録音賞:石寺健一
  • 第83回キネマ旬報ベスト・テン・・・日本映画監督賞:木村大作
  • 第83回キネマ旬報ベスト・テン・・・2009年日本映画第3位
  • 第1回TAMA映画賞・・・特別賞:木村大作
  • 2009年度日本映画ペンクラブ賞・・・木村大作
  • 2009年度日本映画ペンクラブ賞・・・日本映画ベスト5の第3位
  • 第5回おおさかシネマフェスティバル・・・監督賞:木村大作
  • 第5回おおさかシネマフェスティバル・・・撮影賞:木村大作
  • 第5回おおさかシネマフェスティバル・・・2009年度日本映画ベストテン第2位
  • 第22回石原裕次郎賞